「制作したZINEを販売したいけれど、どこで売ればよいのかわからない」「販売価格はどのように決めればよいの?」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
ZINEの販売方法には、文学フリマなどのイベント、書店への委託販売、ネットショップでの通販など、さまざまな選択肢があります。
それぞれ費用や手間、購入者との接点が異なるため、ZINEの内容や想定する読者に合った方法を選ぶことが大切です。
この記事では、ZINEの販売価格の決め方や、オフライン・オンラインでの販売方法、販売時の注意点、販売後のプロモーションについて詳しく解説します。
目次
- ZINEの主な販売方法を比較
- ZINEの販売価格を決める方法
- オフラインでZINEを販売する方法
- ZINEを販売するときの注意点
- ZINEだけでなく自費出版という選択肢もある
- まとめ|作りたい本の目的に合った方法を選ぼう
ZINEの主な販売方法を比較
ZINEの販売方法には、それぞれ異なる特徴があります。
| 販売方法 | 主な費用 | 発送作業 | 読者との交流 | 向いている人 |
| イベント販売 | 出店料・交通費 | 基本的に不要 | 多い | 読者の反応を直接知りたい人 |
| 書店への委託販売 | 委託販売手数料など | 店舗への納品が必要 | 少ない | 書店で作品を手に取ってもらいたい人 |
| ネットショップ | 決済・販売手数料など | 必要 | SNS運用による | 継続的に通販したい人 |
| BOOTHなどの販売サービス | サービス利用料など | 販売方法による | サービスによる | 創作物に関心のある人へ届けたい人 |
| 電子版 | 決済・販売手数料など | 不要 | 少ない | 遠方や海外にも届けたい人 |
| クラウドファンディング | プラットフォーム手数料など | リターン発送が必要 | 多い | 印刷前に制作資金を集めたい人 |
一つに絞る必要はありません。イベントで販売しながら、ネットショップでも通販するなど、複数の販路を組み合わせる方法もあります。
ZINEの販売価格を決める方法
ZINEの販売価格は、印刷・製本費だけで決めるものではありません。
梱包資材費や販売手数料、イベント出店料なども含め、販売しても赤字にならない価格を設定することが大切です。
基本的には、次の計算式を目安にします。
販売価格=1冊当たりの制作・販売費用+確保したい利益
販売に関係する主な費用には、次のようなものがあります。
- 印刷・製本費
- 梱包資材費
- 配送料
- 決済・販売手数料
- 委託販売手数料
- イベント出店料
- 会場までの交通費
- デザインや校正などの外注費
同じサイズやページ数、印刷仕様のZINEが、イベントやオンラインショップでいくらで販売されているかも参考になります。
ただし、相場に合わせるために価格を下げすぎると、売れるほど赤字になる可能性があります。ページ数や印刷品質、作品の内容、制作にかかった費用なども踏まえ、継続して制作できる価格を設定しましょう。
ZINEの販売価格を計算する具体例
例えば、ZINEを50冊制作し、次の費用がかかったとします。
- 印刷・製本費:30,000円
- 梱包資材費:5,000円
- イベント出店料:5,000円
- 費用の合計:40,000円
50冊すべてを販売する場合、1冊当たりの費用は次のとおりです。
40,000円÷50冊=800円
1冊につき200円の利益を確保したい場合、販売価格の目安は1,000円になります。
800円+200円=1,000円
ただし、制作したZINEがすべて売れるとは限りません。
50冊のうち40冊の販売を目標とする場合は、次のように計算します。
40,000円÷40冊=1,000円
この場合、1冊1,000円で40冊を販売すると、制作や販売にかかった費用を回収できます。
赤字を避けるためには、発行部数だけでなく、実際に販売できると予想される冊数を基準に計算することも重要です。
通販で送料を購入者に別途負担してもらう場合は、商品価格と送料を分けて表示します。送料込みにする場合は、想定する送料を販売価格へ反映させましょう。
決済手数料や販売サービスの利用料は、売上から差し引かれることがあるため、各サービスの最新料金を確認したうえで計算してください。
オフラインでZINEを販売する方法
オフライン販売には、購入者がZINEを直接手に取って確認できるメリットがあります。読者の反応をその場で知りたい場合にも適しています。
文学フリマやZINEイベントに出店する
文学フリマやアートブックフェア、ZINEフェスなどのイベントでは、自主制作の本に関心を持つ来場者に直接販売できます。
作品の背景や制作意図を自分の言葉で伝えられるほか、購入者から感想を聞いたり、ほかの制作者と交流したりできることも魅力です。
出店する際は、次のものを準備しておくとよいでしょう。
- 販売するZINE
- 値札
- 釣り銭
- キャッシュレス決済手段
- テーブルクロス
- ZINEを立てて見せるスタンド
- ショップカード
- 持ち帰り用の袋
- 売上を記録するための表やアプリ
イベントによって出店条件や参加費、使用できる決済方法などが異なるため、募集要項を事前に確認してください。
書店やZINE専門店に委託販売を依頼する
自主制作本を扱う書店やZINE専門店に、委託販売を依頼する方法もあります。
委託販売では、店舗が商品を預かり、販売された場合に手数料などを差し引いた売上金が支払われるのが一般的です。
依頼する際は、次の内容をまとめた資料やメールを用意しましょう。
- ZINEの概要
- 表紙と中面の写真
- サイズとページ数
- 販売価格
- 希望する納品冊数
- 制作者のプロフィール
- SNSや販売ページのURL
店舗によって取扱基準、販売手数料、契約期間、精算時期、返品条件が異なります。納品前に条件を確認し、売上報告や在庫確認の方法についても合意しておくことが大切です。
カフェや雑貨店に置いてもらう
ZINEのテーマと相性のよいカフェや雑貨店に、取り扱いを相談する方法もあります。
地域をテーマにしたZINEであれば地元のカフェ、イラストや写真を中心としたZINEであればギャラリーや雑貨店などが候補になります。
すべての店舗が委託販売に対応しているわけではないため、突然商品を持ち込まず、事前にメールや電話で相談しましょう。
フリーマーケットや地域イベントで販売する
地域のフリーマーケットやクリエイター向けイベントでも、ZINEを販売できます。
ZINEを目的に訪れる人だけではないため、作品をまだ知らない層に届けられる可能性があります。
一方、来場者層とZINEの内容が合っていなければ、販売につながりにくいこともあります。出店前に、過去の開催写真や来場者層、出店商品の傾向を確認しておきましょう。
展示会や個展で販売する
写真やイラスト、アート作品をまとめたZINEは、展示会や個展との相性がよい商品です。
展示作品を収録したZINEを会場で販売すれば、作品を気に入った来場者が、作品集や記念品として購入してくれる可能性があります。
展示とZINEのデザインやテーマを統一すると、作品の世界観も伝わりやすくなります。
オンラインでZINEを販売する方法
オンライン販売は、地域を問わずZINEを届けられる方法です。
イベントに参加できない人にも販売できますが、商品登録や問い合わせ対応、梱包、発送などの作業が必要になります。
ネットショップを開設する
BASEやSTORESなどのサービスを利用すれば、専門的な知識がなくてもネットショップを開設できます。
自分で商品価格や送料、商品ページなどを設定できるため、複数のZINEや関連グッズを継続的に販売したい場合にも向いています。
サービスや料金プランによって、月額料金、決済手数料、販売手数料、振込手数料、利用できる機能などが異なります。販売数や売上規模、必要な機能を比較して選びましょう。
料金やサービス内容は変更されることがあるため、利用前に各サービスの公式サイトで最新情報を確認してください。
BOOTHなどの販売サービスを利用する
BOOTHは、同人誌やイラスト、音楽、グッズなどの創作物を取り扱う販売サービスです。紙のZINEに加えて、PDFなどのダウンロード商品も販売できます。
創作物に関心のある利用者へ届けやすく、匿名配送や商品の保管・発送を代行する倉庫サービスなども用意されています。
利用する発送方法によって条件や費用が異なるため、サービス利用料、送料、匿名配送、倉庫サービスなどの最新情報を確認したうえで利用しましょう。
SNSから販売ページへ誘導する
Instagram、X、ThreadsなどのSNSは、ZINEの認知を広げ、販売ページへ誘導するために活用できます。
完成後に販売告知をするだけでなく、次のような内容を継続的に発信するとよいでしょう。
- ZINEを制作している理由
- 原稿やデザインの制作過程
- 表紙や中面の一部
- 印刷・製本されたZINEの写真
- イベント出店情報
- 購入者の感想
- 在庫数や再販予定
例えば、次のような順番で発信できます。
- ZINEのテーマや制作を始めた理由を紹介する
- 制作途中の原稿やデザインを見せる
- 完成した表紙や中面を公開する
- 販売日と販売場所を告知する
- 販売開始後に購入方法や在庫状況を知らせる
- 購入者の許可を得て感想を紹介する
Instagramでは写真や動画、XやThreadsでは制作中の考えや短いエピソードを発信するなど、媒体に合わせて見せ方を変えるのも一つの方法です。
電子版を販売する
紙のZINEに加えて、PDFなどの電子版を販売する方法もあります。
電子版は印刷費や在庫保管費、送料がかかりません。購入後すぐに読めるため、遠方や海外の読者にも届けやすいというメリットがあります。
一方で、購入されたデータを無断で複製・共有されるリスクがあります。複製や再配布を禁止する旨を、商品ページやデータ内に記載しておきましょう。
紙版と電子版では制作・販売にかかる費用が異なるため、それぞれの価格を分けて設定する方法もあります。
クラウドファンディングを活用する
印刷前に制作資金を集めたい場合は、クラウドファンディングを利用する方法があります。
支援へのリターンとして完成したZINEを届けることで、制作資金の確保と予約販売を同時に進められます。
ただし、掲載すれば必ず目標金額を達成できるわけではありません。
ZINEのテーマや制作背景、支援金の使い道、制作スケジュールを明確に伝える必要があります。リターンの制作費や送料、梱包費、プラットフォームの手数料まで含めて資金計画を立てましょう。
ZINEを販売するときの注意点
ZINEを継続して販売するためには、作品の内容だけでなく、権利関係や発送、販売表示、売上管理にも注意が必要です。
著作権や肖像権を確認する
他人が制作した文章、写真、イラストなどの著作物は、著作権法上認められた引用などに該当する場合を除き、原則として権利者の許可なく使用できません。
インターネットで見つけた画像やSNSに投稿されている写真も、自由に使用できるとは限りません。素材サイトを利用する場合も、商用利用や印刷物への使用が認められているか、利用規約を確認しましょう。
人物が識別できる写真を掲載する場合は、肖像やプライバシーに配慮し、掲載目的や販売方法を説明したうえで、必要に応じて本人の同意を得ておくと安心です。
店舗や施設の内部を撮影した写真、作品、ブランドロゴなどを大きく掲載する場合は、撮影規約や各権利者の利用条件も確認しましょう。
著作物の利用について判断が難しい場合は、専門家や関係機関へ相談してください。文化庁「著作権について知っておきたい大切なこと」
梱包方法と送料を決める
通販では、配送中にZINEが折れたり濡れたりしないように梱包する必要があります。
厚紙や段ボールで補強し、水濡れ防止用の袋に入れて発送すると安心です。
送料を商品価格に含めるのか、購入者に別途負担してもらうのかも事前に決めましょう。
料金だけでなく、サイズや重量の上限、追跡の有無、補償内容も比較して発送方法を選んでください。
特定商取引法に基づく表示を確認する
インターネット上で反復継続して商品を販売し、特定商取引法上の「販売業者」に該当する場合は、通信販売に関する表示が必要です。
主な表示事項には、次のようなものがあります。
- 販売価格
- 送料や購入者が負担するその他の費用
- 代金の支払方法と支払時期
- 商品の引渡時期
- 返品・キャンセルに関する条件
- 販売事業者の氏名または名称
- 住所
- 電話番号
- 代表者または通信販売業務の責任者の氏名
通信販売には、訪問販売のような一般的なクーリング・オフ制度はありません。
返品特約を表示していない場合には、原則として商品を受け取った日から8日以内であれば、購入者の送料負担で返品できる場合があります。返品不可とする場合を含め、返品条件は購入前に分かるよう明確に表示しましょう。
必要な表示は販売形態によって異なるため、利用する販売サービスの案内や消費者庁の情報を確認してください。消費者庁「通信販売」
売上と経費を記録する
ZINEの売上や印刷費、出店料、梱包資材費、送料、販売手数料などは、日頃から記録しておきましょう。
ZINE販売による収入は、活動の規模や継続性などにより、税務上の事業所得や雑所得に該当する可能性があります。
確定申告が必要かどうかは、給与の有無やほかの所得、ZINE販売による所得金額などによって異なります。
例えば、年末調整を受けた給与所得者については、給与・退職所得以外の所得金額が年間20万円を超える場合、原則として所得税の確定申告が必要です。ただし、20万円以下でも、ほかの理由で確定申告をする場合や、住民税の申告が必要になる場合があります。
判断に迷う場合は、税務署や税理士、居住地の自治体などに確認してください。
ZINEだけでなく自費出版という選択肢もある
ZINEは、自由なテーマや形式で制作でき、少部数から始めやすいことが魅力です。
一方、次のような希望がある場合は、自費出版も選択肢の一つです。
- より多くの人に届けたい
- 書店流通を含めた販売方法を相談したい
- 原稿や構成を専門家に相談したい
- 印刷や製本の品質にこだわりたい
- ISBNの取得を含めて相談したい
- 編集や校正を専門家に依頼したい
- 長く保存できる本として残したい
ZINEは企画から販売まで自分で進めやすい一方、自費出版では、企画や原稿整理、編集、校正、装丁、印刷・製本などを専門家に相談しながら進められます。
なお、ISBNを付ければ自動的に全国の書店で販売されるわけではありません。ISBNの取得と、書店流通や実際の販売方法は分けて考える必要があります。
「自由に作りたい」「まずは小規模に始めたい」という場合は、ZINEが向いています。
一方、「完成度の高い本を作りたい」「長く残る一冊にしたい」「制作から販売方法まで相談したい」という場合は、自費出版も検討する価値があります。
どちらが優れているというものではありません。制作する目的や予算、発行部数、希望する販売方法に合わせて選ぶことが大切です。
まとめ|作りたい本の目的に合った方法を選ぼう
ZINEの販売方法には、イベントでの直接販売、書店やカフェへの委託販売、ネットショップ、創作物向け販売サービス、電子版などがあります。
販売を始める際は、想定する読者や必要な費用を整理したうえで、自分の作品に合った販路を選びましょう。
また、より完成度の高い本を作りたい場合や、編集・校正、印刷・製本について専門家のサポートを受けたい場合は、自費出版という方法もあります。
労働教育センターでは、1972年の創業以来、さまざまな書籍づくりに携わってきました。自費出版についても、企画から編集、校正、デザイン、印刷・製本まで幅広くサポートしています。
「ZINEと自費出版のどちらが合っているかわからない」「原稿はあるけれど、本にする方法がわからない」という段階でもご相談いただけます。
作りたい内容や目的、予算に合わせて適した方法をご提案しますので、自分の作品や考えを一冊の本として形にしたい方は、お気軽にお問い合わせください。

