中学生が綴る労働とDV 語る・聴く・交流が生み出すエンパワーメント(B437)
著者 久木田絹代
定価1,980円(本体1,800円+税10%)
四六判、160ページ、ソフトカバー
ISBN978-4-8450-0960-2
2024年6月10日発売
子どもたちの声が交差する教室
ジェンダーの視点から暮らしを綴る教育実践の可能性
──木村涼子さん(大阪大学大学院教授)推薦!
著者は30年間、中学校で暮らしを綴る教育実践を続けてきた。
「母の仕事」を綴るなかで、アンペイドワークの存在、母が二つの労働を担う大変さに気づいていく子どもたち。暮らしを綴った文章に表れる gender based violence(ジェンダーに基づく暴力)。だが、綴られた文章が学級集団で共有されるとき、本人も周りの子どもたちもエンパワーされていく。その過程を、数年後に行った当時の子どもへのインタビューを交えながらいきいきと描き出す。
ジェンダー平等教育としての「綴る」教育実践の記録。
【著者プロフィール】
1957年鳥取県生まれ。1980年より公立小・中学校で勤務。2018年3月退職。2022年3月大阪大学大学院人間科学研究科修士課程修了。現在、デートDV防止教育ファシリテーターなどの活動を行う。
序章 ジェンダー平等教育としての「綴る」教育実践の可能性
第1章 中学生は労働をどのように綴ったか
1 アンペイドワークとペイドワーク
2 「綴る」こととジェンダー
3 アンペイドワークの記述と労働の意味づけに注目して
4 中学生はどんな仕事を取材したか
5 女子と男子で異なるアンペイドワークの認識
6 父への感謝・尊敬が添えられているペイドワークの記述
7 性別分業について考えはじめるきっかけに
第2章 「母の仕事」を取材して綴る
1 母と父どちらの労働にも目を向けるために
2 3人の作品とインタビュー調査から
3 ジェンダー・バイアスを問い直す入り口に
第3章 中学生はDVをどのように綴ったか
1 DVが子どもに与える影響とエンパワーメント
2 集団の場におけるエンパワーメント
3 「向き合うべきこと」を選び綴る教育実践の流れ
4 作品にみる子どもの状況
5 DVについて綴った作品の分析方法
6 子どもが綴った暴力
7 看過できない経済的暴力
第4章 綴ることとエンパワーメント
1 当時DVについて綴った子どもへのインタビュー
2 DVによる子どもへの影響
3 エンパワーメントの過程を追う
4 学校だからこそできること
第5章 「綴る」教育実践とジェンダー平等
1 アンペイドワークも労働だと知ることで起こる変化
2 労働とDVはひと続きの問題
3 学校におけるジェンダー平等教育の可能性
巻末参考資料 中学生の作品掲載